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このミステリーがすごい!2026年版のあらすじ紹介【国内編&海外編】

このミステリーがすごい!2026年版のあらすじ紹介【国内編&海外編】
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「今年はどんなミステリーを読めばいいの?」「話題作が多すぎて、何から手をつければ…」といった、悩みを抱えていませんか?

毎年、ミステリーファンが最も注目するランキングのひとつが 「このミステリーがすごい!」です。2026年版では、2024年10月〜2025年9月に刊行された作品を対象に、識者や書店員の投票によって国内編・海外編それぞれのベスト10が選出されました。

この記事では、年末の風物詩として知られるミステリーランキング『このミステリーがすごい!2026年版』の国内編・海外編ベスト10を、 全20作品のあらすじと感想つきで徹底紹介します。

まだ、読まれていない本があれば、これを機に読んでみてはいかがでしょうか。

 

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「このミステリーがすごい!」とは?

「このミステリーがすごい!」(通称:このミス)は、宝島社が毎年12月に発行するミステリー小説のランキング本です。

ミステリー評論家、書評家、書店員など、ミステリーに精通した識者たちの投票によって順位が決定されます。ランキングは国内編海外編の2部門で構成されており、その年に刊行されたミステリー&エンターテインメント作品の中から、最も評価の高い作品が選ばれます。

1988年の創刊以来、30年以上にわたって続く老舗ランキングであり、「週刊文春ミステリーベスト10」「本格ミステリ・ベスト10」「ミステリが読みたい!」と並ぶ四大ミステリーランキングのひとつとして、多くの読書家に支持されています。

単なる順位表にとどまらず、著者インタビューやミステリーに関する特集記事も充実しており、毎年ミステリーファン必携の一冊となっています。

【国内編】このミステリーがすごい!2026年版 ベスト10

まずは国内編のベスト10をご紹介します。以下が2026年版の順位一覧です。

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順位 作品名 著者 詳細リンク
1位 失われた貌 櫻田智也 ▼詳細を見る
2位 夜と霧の誘拐 笠井潔 ▼詳細を見る
3位 禁忌の子 山口未桜 ▼詳細を見る
4位 百年の時効 伏尾美紀 ▼詳細を見る
5位 まぐさ桶の犬 若竹七海 ▼詳細を見る
6位 ブレイクショットの軌跡 逢坂冬馬 ▼詳細を見る
7位 神の光 北山猛邦 ▼詳細を見る
8位 エレガンス 石川智健 ▼詳細を見る
9位 目には目を 新川帆立 ▼詳細を見る
10位 抹殺ゴスゴッズ 飛鳥部勝則 ▼詳細を見る

それでは、1位から順に各作品のあらすじと感想をお届けします。

1位『失われた貌』櫻田智也

あらすじ

J県の山奥で、顔を潰され、歯を抜かれ、手首から先を切り落とされた身元不明の死体が発見された。事件報道後、生活安全課にひとりの小学生男子が訪れ、「自分のお父さんかもしれない」と申しでる。彼の父親は10年前に失踪し、失踪宣告を受けていた。しかし新たな殺人事件の発生をきっかけに最初の死体の身元が判明し、それは少年の父親ではなかった。無関係に見えた出来事が絡み合い、事件は思いがけない方向へ膨らみ始める…。

おすすめポイント

本作が恐ろしいのは、「顔のない死体」という古典的なモチーフを、まったく新しい角度から調理してみせた点です。DNA鑑定が当たり前の現代において、あえて「血液型」を最大の手がかりに据えるというクラシカルな挑戦。しかしそこに古臭さは微塵もありません。

ページをめくるごとに、無関係だと思っていた人物・場所・事件が一本の線で結ばれていく快感は圧巻です。短編集で定評のあった櫻田智也さんの初長編にして、「ホワットダニット(何が起きたのか?)」の手法が見事に長編に昇華されています。

本を閉じた後にタイトルの意味が反転する瞬間、あなたはきっと背筋が凍るでしょう。「失われた貌」とは誰の貌だったのか…その答えを知ったとき、この物語の本当の怖さが胸に迫ってきます。三冠の名に恥じない、2025年最高の本格ミステリです。

2位『夜と霧の誘拐』笠井潔

あらすじ

1978年の秋、パリ。哲学者・矢吹駆とナディアは、かつて”三重密室事件”が起きたダッソー家の晩餐会に招かれる。その夜、運転手の娘サラがダッソー家の令嬢ソフィーと間違えて誘拐されてしまう。さらに身代金の運搬役に指名されたのはナディアだった。同じ夜、カトリック系私立校では女性学院長の射殺体が発見され…「誘拐」と「殺人」、二つの事件を繋ぐ驚愕の真実を矢吹駆が射抜く。

おすすめポイント

本作を読み終えたとき、「前人未到、永久不滅の誘拐ミステリ」という帯の言葉がまったく誇張ではないことを悟るでしょう。間違われた誘拐、連鎖する誘拐 その仕掛けの巧みさは、クリスティやクイーンの黄金期を彷彿とさせます。

しかし本シリーズの真骨頂は、ミステリとしての精緻さと哲学的思索が共存しているところ。今回、矢吹駆の議論の相手となるのはハンナ・アーレントをモデルとしたユダヤ人女性哲学者。歴史修正主義やイスラエル批判にまで踏み込む知的格闘は、まさに「小説でしかできない対話」です。

672ページの大作ながら、エンタメとしての推進力と思想の深みが高次元で融合した、シリーズ屈指の完成度。 「ミステリの頂」に立つ一作です。

3位『禁忌の子』山口未桜

あらすじ

救急医・武田のもとに搬送されてきた一体の溺死体。その身元不明の遺体は、なんと武田と瓜二つだった。一人っ子のはずの自分に、なぜこんなにも似た人間がいるのか。旧友の医師・城崎とともに調査を始めるが、鍵を握る人物に会おうとした矢先、その相手が密室内で死体となって発見される。自らのルーツを辿った先に待つ、思いもよらぬ真相とは…。

おすすめポイント

この物語が読む者の心をざわつかせるのは、 ミステリの謎解きと「生命倫理」の問いが不可分に結びついているからです。「自分と瓜二つの死体」このインパクトある謎の先に広がるのは、親の愛情の深さ、業の深さ、そして罪の深さ。

現役医師である山口未桜さんだからこそ書ける医療描写のリアリティが、物語に圧倒的な説得力を与えています。鮎川哲也賞受賞のデビュー作にして、本格ミステリとしての論理的整合性と、人間ドラマとしての奥行きを高いレベルで両立させた一冊。

読後、あなたはきっと「禁忌の子」というタイトルの意味を何度も反芻することになるでしょう。それは単なるミステリの仕掛けを超え、「命とは何か」を突きつける問いかけなのです。

4位『百年の時効』伏尾美紀

あらすじ

令和6年、葛飾区のアパートで老人の変死体が発見される。現場には、50年前の未解決事件、昭和49年に東京・佃島で起きた”家惨殺事件”を告白する手紙が残されていた。若き女性刑事・藤森菜摘は、半世紀にわたる捜査資料を託される。物語は「昭和編」「平成編」「令和編」に分かれ、世代を超えた刑事たちの執念が、止まっていた時計の針を再び動かしていく…。

おすすめポイント

全553ページ、一度も本を置くことができませんでした。昭和100年にふさわしい、刑事たちの「昭和」が終わらない物語です。

本作の凄みは、単なる犯人探しを超えたスケール感にあります。佃島惨殺事件を発端に、昭和25年の函館の殺人事件、さらには戦前の満州国にまで遡る因縁。まさに日本近現代史を駆け抜ける壮大な構成です。

そして何より、世代を超えてバトンリレーのように捜査を繋ぐ刑事たちの姿が胸を熱くします。昭和の鬼刑事のような荒々しさと、令和の女性刑事の科学的なアプローチ。その対比もまた、この物語の大きな魅力です。ミステリ好きも大河小説好きも唸らせる、間違いなく2025年の警察小説No.1と言えるでしょう。

5位『まぐさ桶の犬』若竹七海

あらすじ

ミステリ専門の古本屋で住み込み店員として働きながら、探偵業も請け負う葉村晶。50代に突入した彼女のもとに、名門私立・魁皇学園の元理事長から「密かにある人物を探してほしい」という依頼が舞い込む。意外と簡単に手がかりが見つかるかと思いきや、学園一族の権力闘争、土地開発を絡めた暗い影が忍び寄り…。いつの間にか殺人事件にまで発展してしまう。

おすすめポイント

「鼻からポタポタと血を垂らしながら考えた。いったいどこのどいつだ、わたしを殺そうとしているのは……」 冒頭のこの一文で、「ああ、葉村晶が帰ってきた!」と心の中でガッツポーズをした読者は多いはずです。

勤勉で優秀なのに、なぜかいつもひどい目に遭う。満身創痍になりながらも、職務を全うするクールでタフな女探偵。その唯一無二の魅力は本作でも健在です。

タイトルの「まぐさ桶の犬」とはイソップ寓話に由来し、自分には必要ないのに、それを必要とする者の邪魔をする人間のこと。まさに本作の真犯人にも当てはまるこの寓意が、読後にじわりと効いてきます。シリーズファンはもちろん、初読みの方にもおすすめの一冊です。

6位『ブレイクショットの軌跡』逢坂冬馬

あらすじ

自動車期間工の本田昴は、2年11カ月の寮生活を終えようとしていた。最終日、同僚がSUV「ブレイクショット」のボルトをひとつ車体の内部に落とすのを目撃する。見過ごせば明日からは自由の身だが…。以降、投資ファンド役員、板金工場の課長、不動産営業マン、サッカー少年、そして中央アフリカの少年兵まで。1台の車が持ち主を変えながら、8つの人生を繋いでいく。

おすすめポイント

底が抜けた社会の地獄で、あなたの夢は何ですか? この問いかけが、全584ページを通じて何度もこだまします。

戦時下のヨーロッパを描いた前2作から一転、舞台は現代日本。しかし逢坂冬馬さんの核にある「個人と世界の繋がり」というテーマは揺るぎません。インサイダー取引、工賃水増し、投資詐欺、SNSの混沌「ルールを守れない状況に追い込まれたとき、人はどう行動するか?」という問いは、読者自身の日常と地続きです。

一見バラバラな物語が、ラストで奇跡のように繋がっていく構成力は圧巻の一言。ミステリとしてだけでなく、現代社会を切り取る群像劇としても一級品です。

7位『神の光』北山猛邦

あらすじ

銃のスコープの中の屋敷、砂漠の街、ポオの遺稿に書かれた小屋、神聖な丘の頂上に建つ鳥居、幾人もの夢に現れる白亜の館、これらの建造物はいかにして忽然と消失したのか? 「物理の北山」の異名を持つ著者が、1冊丸ごと「建造物消失」に挑んだ5つの短編を収録。

おすすめポイント

1冊丸ごと消失もの。この企画を聞いただけで、本格ミステリファンなら身震いするのではないでしょうか。しかも消えるのは小物ではありません。屋敷が消え、街が消え、建物ごと消失する、大スケールのイリュージョンが5連発で繰り出されるのです。

「こんなに期待させられたら、きっと期待外れになるだろうな」と身構えていたのに、ちゃんと期待通り面白い。これが本当にすごいことなんです。それぞれの短編に幻想的な空気が漂いながらも、謎解きはあくまでロジカル。表題作「神の光」は日本推理作家協会賞候補にもなった傑作で、砂漠の中の町が消失するトリックには思わず声が出ました。

本格ミステリの職人芸を堪能したい方には、この上なく贅沢な一冊です。

8位『エレガンス』石川智健

あらすじ

1945年1月の東京。連日連夜B29が飛来する戦時下で、洋裁学校に通う女学生が連続して不審死を遂げる。4人の若い女性の自殺が報じられるが、疑念を抱いた警視庁の写真記録係・石川光陽は独自の捜査に乗り出す。戦時下の東京で、洋装に身を包んだ女性たちに何が起きていたのか…。

おすすめポイント

「戦争で、空襲でどうせ死ぬ。それなのになぜ、彼女たちは殺されなければならなかったのか」この問いが、読む者の胸に重く響きます。

ミステリとして見れば、連続不審死の真相を追う正統派のフーダニット。しかし本作の真価は、「戦時下にエレガンスを求めた女性たち」の生と死を通して、時代の空気をまざまざと描き出している点にあります。

警察と女性の視点が交互に切り替わる構成も巧み。東京大空襲という史実を背景に、ミステリの謎解きと戦時下の人間ドラマが見事に融合しています。80年前の物語でありながら、「自分らしくありたい」という願いの普遍性が、現代の読者にも深く刺さる一冊です。

9位『目には目を』新川帆立

あらすじ

少年犯罪をテーマに据えた本作。ある事件をきっかけに、加害者と被害者、そしてその家族たちの人生が激しく交錯していく。弁護士出身の著者ならではの法律知識と、人間の心理に対する鋭い洞察が融合した社会派ミステリ。

おすすめポイント

「目には目を」この旧約聖書の言葉が、読み進めるほどに多層的な意味を帯びていきます。復讐は正義なのか。罰は誰のためにあるのか。本作は安易な答えを読者に与えません。

弁護士として法廷に立った経験を持つ新川帆立さんだからこそ描ける、法と感情の狭間のリアリティ。少年犯罪という重いテーマを扱いながら、ミステリとしての推進力を一切失わない筆力はさすがの一言です。

読後に残るのは、犯罪と罰をめぐる答えの出ない問い。しかしそれこそが、本作最大の魅力なのかもしれません。ぜひ自分自身の「正義」を問い直す読書体験をしてみてください。

10位『抹殺ゴスゴッズ』飛鳥部勝則

あらすじ

高校生・詩郎の前に出現した、自らが空想で創った「怪神」の正体とは。殺害された地元名士を脅迫していたという「怪人」とは何者か。2つの迷宮的な事件が絡み合い、複雑怪奇なカタストロフィが待ち受ける、本格ミステリ。

おすすめポイント

「抹殺ゴスゴッズ」このインパクト抜群のタイトルに惹かれた方は、すでに著者の術中にはまっています。飛鳥部勝則さんといえば、アートとミステリの融合で知られる異色の作家。本作でもその個性は全開です。

ゴシック的な世界観を下敷きにしながら、本格ミステリとしてのロジックはあくまで厳密。耽美的な装いの奥に、精密機械のような論理が潜んでいる、そのギャップこそが本作の醍醐味です。

万人向けとは言い難い尖った作風ですが、「他では絶対に味わえない読書体験」を求める方にこそ手に取っていただきたい一冊。ベスト10入りは伊達ではありません。

 

【海外編】このミステリーがすごい!2026年版 ベスト10

続いて海外編のベスト10をご紹介します。

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順位 作品名 著者 詳細リンク
1位 私立探偵マニー・ムーン リチャード・デミング ▼詳細を見る
2位 マーブル館殺人事件 アンソニー・ホロヴィッツ ▼詳細を見る
3位 ハウスメイド フリーダ・マクファデン ▼詳細を見る
4位 罪の水際 ウィリアム・ショー ▼詳細を見る
5位 夜明けまでに誰かが ホリー・ジャクソン ▼詳細を見る
6位 デスチェアの殺人 M・W・クレイヴン ▼詳細を見る
7位 イーストレップス連続殺人 フランシス・ビーディング ▼詳細を見る
8位 アルパートンの天使たち ジャニス・ハレット ▼詳細を見る
9位 世界の終わりの最後の殺人 スチュアート・タートン ▼詳細を見る
10位 ヴァイパーズ・ドリーム ジェイク・ラマー ▼詳細を見る

それでは、各作品のあらすじと感想を見ていきましょう。

1位『私立探偵マニー・ムーン』リチャード・デミング

あらすじ

舞台は第二次世界大戦後のアメリカ中西部。元プロボクサーで、戦争で右足を失った私立探偵マニー・ムーン。義足をものともしない格闘術と鋭い頭脳を武器に、次々と事件に挑む。弁護士の依頼で事務所を訪れると、そこにはナイフで刺された死体が…。愛銃ワルサーP38と、レンジャー部隊仕込みの格闘術で大立ち回りを演じる、全7作品を収録する。

おすすめポイント

こんな探偵、見たことない。義足をときに武器にまで使う大立ち回りを演じたかと思えば、関係者を一堂に集めて名探偵顔負けの推理を披露する、タフガイとロジシャンが一人の中に共存しているのです。

1940年代にすでにこんなハイブリッド型の探偵小説が存在していたことに驚かされます。エラリー・クイーン名義のゴーストライターも務めた「ミステリ職人」デミングの筆致は、テンポ良く、ダンスのような軽快さ。それでいて各篇にしっかりと伏線とロジカルな謎解きが仕込まれています。

警察との愛憎入り混じる関係性も最高に楽しい。「海外名作発掘」シリーズの面目躍如こんな宝物が眠っていたとは、ミステリの鉱脈は本当に尽きません。

2位『マーブル館殺人事件』アンソニー・ホロヴィッツ

あらすじ

編集者スーザン・ライランドが、架空のミステリ作家アティカス・ピュントの新作原稿に向き合うおなじみのシリーズ第3弾。劇中劇ならぬ「小説中小説」の趣向で、現実世界の謎と作中作品の謎が同時に進行。ホロヴィッツならではの伏線回収と、読者への挑戦が冴え渡る。

おすすめポイント

ホロヴィッツ作品を読むたびに思うのですが、この人は「読者を驚かせる」ことに命を懸けているのではないでしょうか。本作でもその技巧の冴えは健在どころか、シリーズ最高の完成度と言っても過言ではありません。

現実パートと作中作パート、二つの物語が並行して進み、両方の謎が最後に収束する構成。アナグラムの解明にゾッとし、伏線回収の神がかり具合に唸るトップレベルの犯人当てミステリをお求めの方に、これ以上の贈り物はないでしょう。

小島秀夫さんも絶賛した本作。ミステリ好きならずとも、物語を愛するすべての人に届いてほしい一冊です。

3位『ハウスメイド』フリーダ・マクファデン

あらすじ

前科持ちのミリーが手に入れた、裕福な家庭での住み込みハウスメイドの仕事。だが、この家は何かがおかしい。不可解な言動を繰り返す妻ニーナ、生意気な娘セシリア。夫のアンドリューはなぜ結婚生活を続けていられるのだろうか? 与えられた屋根裏部屋で生活を始めたミリーだが、やがて家族にまつわる真相が明かされるや、目にしたものすべてがひっくり返る…。

おすすめポイント

前半で「お昼の民放ドラマかな?」と思わせておいて、第2部から一変。この落差こそが本作の恐ろしさです。サプライズの連続に、ページをめくる手が止まりません。

精神が不安定に見えた雇い主の奥様の言動には理由があり、完璧に見えた夫にも裏の顔がある。そして主人公ミリー自身が抱える秘密もまた…。すべてが反転した瞬間、「騙された!」と叫ばずにはいられません。

読みやすさも抜群で、海外ミステリ初心者にもおすすめ。シドニー・スウィーニー主演の映画版も話題必至。「ヒトコワ系」の新定番として、ぜひ体験してほしい一冊です。

4位『罪の水際』ウィリアム・ショー

あらすじ

ケント州の海辺の町ダンジェネス。心的外傷後ストレス障害で休職中の女刑事アレックスは、同性婚パーティに居合わせた際、花嫁に襲いかかろうとした中年女性を間一髪で阻止する。一方、町では夫婦の惨殺死体が発見され、現場に血文字のメッセージが残されていた。町の多くが巻き込まれた大規模な投資詐欺と関連がありそうだが…。

おすすめポイント

本作のトーンはやや低く、地味と言えば地味。しかし、その「静けさ」こそが恐ろしい。「イングランドの砂漠」と呼ばれる荒涼とした町を舞台に、複雑な人間模様と悲劇が端正に綴られていきます。

PTSDを抱えた主人公アレックスの内面描写が秀逸で、薄気味悪い雰囲気が行間からにじみ出る。惨殺死体、投資詐欺、7年前の行方不明事件、複数の事件が絡み合いながら意外な犯人像と意外な結末が待ち受けます。

実はシリーズ第4作目で、本国では7作以上出版されているそうです。静かな読書が好きな方、英国ミステリの奥深さを堪能したい方に、自信を持っておすすめします。

5位『夜明けまでに誰かが』ホリー・ジャクソン

あらすじ

高校生のレッドは友人3人、お目付け役の大学生2人とキャンピングカーで旅行に出かけていた。だが人里離れた場所で何者かに狙撃され、車に閉じ込められてしまう。午前零時、狙撃者が要求を突きつける。6人のうちの誰かが秘密を抱えている。命が惜しければそれを明かせ。制限時間は、夜明けまで…。

おすすめポイント

6人がキャンピングカーに閉じ込められ、互いの秘密を探り合う。この設定だけで面白くないはずがありません。一夜の出来事を描く物語でありながら、560ページを一気読みさせる緊迫感は圧巻。

誰もが秘密を隠し、誰もが嘘をつく。「この中に裏切り者がいる」というシチュエーションが生む心理劇は、ホリー・ジャクソンの真骨頂です。

YA(ヤングアダルト)発ながら大人の読者にも十分な読み応え。「今夜、一晩で読み切る覚悟」を持って手に取ってください。朝まで眠れなくなります。

6位『デスチェアの殺人』M・W・クレイヴン

あらすじ

精神科病院で医師のカウンセリングを受けるポー。彼が語るのは、木に縛られ石打ちで殺害された男の事件。遺体には難解なコードが刻まれていた。捜査は15年前の未解決事件とのつながりを浮かび上がらせ、ポーにシリーズ史上最大の危機が迫る…。

おすすめポイント

新刊が出るたびに「シリーズ最高」が更新され続ける。本作でまたしてもハードルが上がりました。

ゴールド・ダガー受賞作『ストーンサークルの殺人』から始まったこのシリーズは、英国カンブリア州の牧歌的な自然と、恐ろしい犯罪のギャップが魅力。日本で言えば、絵本に出てきそうな里山で連続殺人が起きているようなイメージです。

冒頭の精神科シーンから一体何が起きたのかと引き込まれ、難解なコードの解読、15年前の未解決事件との接続と、ミステリとしての仕掛けも盛りだくさん。 シリーズ初見でも楽しめますが、1作目から読むとさらに沼にはまります。

7位『イーストレップス連続殺人』フランシス・ビーディング

あらすじ

風光明媚なノーフォーク海岸沿いの保養地イーストレップスで、老婦人がこめかみを刺されて殺害される。続けて第二、第三の殺人が同様の手口で繰り返され、街は謎の殺人鬼「イーストレップスの悪魔」の影に怯えることに。地元警察はついに有力な容疑者を確保するに至るのだが……。

おすすめポイント

映画『白い恐怖』の原作者が書いた、もうひとつの傑作がこんなところに眠っていた。本邦初訳というのが信じられないほどの完成度です。

巧みなミスディレクション、レッドヘリング、白熱の裁判シーン。フーダニットとしての精度は黄金期の作品の中でもトップクラス。殺人事件そのものよりも、事件がもたらす町全体のパニックがリアルに描かれるのも新鮮です。観光客は逃げ出し、経済は壊滅し、夜は恐怖に包まれる。

「ありそうもないこと」を具象化したグロテスクな犯人像に、脳のざわめきが止まりません。クラシック・ミステリ好きなら、絶対に見逃せない発掘本です。

8位『アルパートンの天使たち』ジャニス・ハレット

あらすじ

2003年、ロンドン北西部の廃倉庫で、自分たちは天使だと信じるカルト教団《アルパートンの天使》の信者数人の凄惨な遺体が見つかった。指導者は逮捕されたが、現場で保護された17歳の男女と乳児のその後は不明。18年後、犯罪ノンフィクション作家アマンダがこの事件を追い始めるが、同業のライバルも同じ題材を狙っていて……。

おすすめポイント

「テキストだけで事件を解き明かす」この手法が、前作『ポピーのためにできること』からさらにパワーアップしています。メールのやりとり、SNS、なんと小説や脚本まで挿入して、多角的に事件の真相が浮かび上がっていくのです。

最初は登場人物の多さに戸惑うかもしれません。しかし中盤からギアが上がり、最後の怒濤の展開には「やられた!」と声が出ること間違いなし。読後に冒頭を読み返すと、「ここではっきり言ってるじゃないか!」という箇所が見つかるはず。

カルト教団というおぞましい題材を扱いながら、読書体験としてはまるでパズルを解くような知的興奮に満ちています。752ページの大作ですが、後半は一気読み必至です。

9位『世界の終わりの最後の殺人』スチュアート・タートン

あらすじ

謎の現象「霧」によって人類の大半が死滅した世界。最後に残された人々は、バリアに守られたギリシャの島で暮らしている。90年以上殺人が起きていなかったこの島で、長老の一人が殺される。しかもこの殺人の謎を解かなければ、バリアが失われ人類は滅亡してしまう……。制限時間46時間。殺人の謎を解くか、人類の滅亡か。究極の二択が迫られる。

おすすめポイント

殺人事件を解明するか、人類の滅亡か。こんな究極の二択、聞いたことがありますか? スチュアート・タートンは『イヴリン嬢は七回殺される』でもぶっ飛んだ設定を見せてくれましたが、本作はそれを上回るスケール感です。

SFとミステリの融合は珍しくありませんが、「ミステリを解かなければ人類が滅ぶ」という設定が、推理に文字通り命を賭けさせるのが秀逸。ギリシャの島という閉鎖空間も、謎解きの舞台として完璧に機能しています。

イギリスの高級紙がこぞって絶賛したのも納得。「ミステリの可能性はまだまだ無限大だ」と教えてくれる一冊です。

10位『ヴァイパーズ・ドリーム』ジェイク・ラマー

あらすじ

1961年、ニューヨーク。ジャズ全盛のハーレムで最も怖れられる麻薬密売人クライド。その日、彼は自身が犯した殺人を後悔していた。殺しは今夜で3度目だが、悔いたのは初めてのこと。かつてトランペッターを夢見た男が、ハーレムの闇に堕ちていく…。

おすすめポイント

行間からジャズが聴こえる。BLUE GIANT原作者のNUMBER 8氏がそう推薦したように、本作は五感に訴えかけてくるノワール小説です。

1960年代のハーレム。その猥雑で危険で、しかしどうしようもなく魅力的な空気を、ジェイク・ラマーは見事に描き出しています。麻薬密売人が主人公というダークな設定ながら、クライドの内面に宿るかつての夢トランペッターとしての人生が切なさを際立たせます。

CWA最優秀歴史ミステリ賞の受賞も納得の、音楽と犯罪が溶け合う独特の世界観。ハードボイルド好き、ジャズ好きにはたまらない一冊です。ミステリの枠を超えた「物語の力」を味わってください。

まとめ

どうですか、気になった書籍は見つかりましたか?

2025年もまた、素晴らしいミステリーの1年でした。この記事が、あなたの「次の1冊」を見つけるきっかけになれば嬉しいです。

気になる作品が見つかったら、ぜひ今日から読み始めてみてください。きっと、ページをめくる手が止まらなくなるはずですよ。

それでは、まったです。 (‘◇’)ゞ

国内編の一覧
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1位

失われた貌

『失われた貌』
櫻田智也


Kindle: Audible: 
2位

夜と霧の誘拐

『夜と霧の誘拐』
笠井潔


Kindle: Audible: 
3位

禁忌の子

『禁忌の子』
山口未桜


Kindle: Audible: 
4位

百年の時効

『百年の時効』
伏尾美紀


Kindle: Audible: 
5位

まぐさ桶の犬 (文春文庫 わ 10-7)

『まぐさ桶の犬』
若竹七海


Kindle: Audible: 
6位

ブレイクショットの軌跡

『ブレイクショットの軌跡』
逢坂冬馬


Kindle: Audible: 
7位

神の光

『神の光』
北山猛邦


Kindle: Audible: 
8位

エレガンス

『エレガンス』
石川智健


Kindle: Audible: 
9位

目には目を

『目には目を』
新川帆立


Kindle: Audible: 
10位

抹殺ゴスゴッズ

『抹殺ゴスゴッズ』
飛鳥部勝則


Kindle:  Audible: 

 

海外編の一覧
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1位

私立探偵マニー・ムーン (新潮文庫 テ 27-1)

『私立探偵マニー・ムーン』
リチャード・デミング


Kindle:  Audible: 
2位

マーブル館殺人事件 上 (創元推理文庫)

『マーブル館殺人事件』
アンソニー・ホロヴィッツ


Kindle: Audible: 
3位

ハウスメイド (ハヤカワ・ミステリ文庫)

『ハウスメイド』
フリーダ・マクファデン


Kindle: Audible: 
4位

罪の水際 (新潮文庫 シ 45-1)

『罪の水際』
ウィリアム・ショー


Kindle:  Audible: 
5位

夜明けまでに誰かが (創元推理文庫)

『夜明けまでに誰かが』
ホリー・ジャクソン


Kindle: Audible: 
6位

デスチェアの殺人 上 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

『デスチェアの殺人』
M・W・クレイヴン


Kindle: Audible: 
7位

イーストレップス連続殺人 (海外文庫)

『イーストレップス連続殺人』
フランシス・ビーディング


Kindle: Audible: 
8位

アルパートンの天使たち (集英社文庫)

『アルパートンの天使たち』
ジャニス・ハレット


Kindle: Audible: 
9位

世界の終わりの最後の殺人

『世界の終わりの最後の殺人』
スチュアート・タートン


Kindle: Audible: 
10位

ヴァイパーズ・ドリーム (海外文庫)

『ヴァイパーズ・ドリーム』
ジェイク・ラマー


Kindle: Audible: 

 

【歴代リンク】このミステリーがすごい!

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30年以上の読書歴と年間100冊以上の読書経験をもとに、国内外のミステリーやファンタジーを中心に、ジャンルを問わず正直な感想をお届けします。
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