【知念実希人】天久鷹央の推理カルテのシリーズ読む順番と新刊を紹介

他の医師が「診断困難」とした患者や、不可解な謎を診断によって解決していく医療ミステリー。
今回はそんな、知念実希人さんの『天久鷹央の推理カルテのシリーズ』の読む順番と新刊をご紹介します。
まだ、読まれていない本があれば、これを機に読んでみてはいかがでしょうか。
天久鷹央の推理カルテのシリーズの新刊
ちなみに、知念実希人さんの単行本&文庫本の新刊情報は、下記の記事で紹介しているのでよかったらどうぞ。
- Kindle Unlimitedが2ヶ月99円
- 表示された方のみ2ヶ月99円キャンペーンが開催
- Amazon Music Unlimitedが30日間無料
- 音楽聴き放題サービスで30日間無料キャンペーンを開催
- Audibleが30日間無料
- Amazonオーディオブックで30日間無料キャンペーンを開催
【知念実希人】天久鷹央の推理カルテのシリーズの読む順番
天久鷹央の推理カルテのシリーズは、警察でさえ手に負えない摩訶不思議な事件に、助手の小鳥遊優とともに挑んでいくシリーズです。また、天久鷹央と小鳥遊優の漫才のような軽妙な掛け合いもこのシリーズの特徴のひとつです。
天久鷹央の推理カルテのシリーズは、どの作品から読んでも楽しめますが「刊行順」と「時系列順」で順番が違うので注意が必要です。
また、「推理カルテ」は短編集、「事件カルテ」は長編という構成が特徴となっています。
刊行順
- 天久鷹央の推理カルテ 完全版(短編集)
- ファントムの病棟 天久鷹央の推理カルテ 完全版(短編集)
- 密室のパラノイア 天久鷹央の推理カルテ 完全版(短編集)
- スフィアの死天使 天久鷹央の事件カルテ 完全版(長編)
- 悲恋のシンドローム 天久鷹央の推理カルテ 完全版(短編集)
- 幻影の手術室 天久鷹央の事件カルテ 完全版(長編)
- 神秘のセラピスト 天久鷹央の推理カルテ 完全版(短編集)
- 甦る殺人者 天久鷹央の事件カルテ 完全版(長編)
- 火焔の凶器 天久鷹央の事件カルテ 完全版(長編)
- 魔弾の射手 天久鷹央の事件カルテ 完全版(長編)
- 神話の密室 天久鷹央の推理カルテ 完全版(中編集)
- 久遠の檻 天久鷹央の事件カルテ 完全版(長編)
- 生命の略奪者 天久鷹央の事件カルテ 完全版(長編)
- 吸血鬼の原罪 天久鷹央の事件カルテ(長編)
- 羅針盤の殺意 天久鷹央の推理カルテ(短編集)
- 絶対零度のテロル 天久鷹央の事件カルテ(長編)
- 猛毒のプリズン 天久鷹央の事件カルテ(長編)
- 呪いのシンプトム 天久鷹央の推理カルテ(短編集)
- 鏡面のエリクサー 天久鷹央の事件カルテ(長編)
- 血脈のナイトメア 天久鷹央の事件カルテ(長編)
- アノマリーの追憶 天久鷹央の推理カルテ(短編集)
時系列順
- スフィアの死天使 天久鷹央の事件カルテ 完全版(長編)
- 天久鷹央の推理カルテ 完全版(短編集)
- ファントムの病棟 天久鷹央の推理カルテ 完全版(短編集)
- 密室のパラノイア 天久鷹央の推理カルテ 完全版(短編集)
- 悲恋のシンドローム 天久鷹央の推理カルテ 完全版(短編集)
- 幻影の手術室 天久鷹央の事件カルテ 完全版(長編)
- 神秘のセラピスト 天久鷹央の推理カルテ 完全版(短編集)
- 甦る殺人者 天久鷹央の事件カルテ 完全版(長編)
- 火焔の凶器 天久鷹央の事件カルテ 完全版(長編)
- 神話の密室 天久鷹央の推理カルテ 完全版(中編集)
- 魔弾の射手 天久鷹央の事件カルテ 完全版(長編)
- 久遠の檻 天久鷹央の事件カルテ 完全版(長編)
- 羅針盤の殺意 天久鷹央の推理カルテ(短編集)
- 生命の略奪者 天久鷹央の事件カルテ 完全版(長編)
- 吸血鬼の原罪 天久鷹央の事件カルテ(長編)
- 絶対零度のテロル 天久鷹央の事件カルテ(長編)
- 猛毒のプリズン 天久鷹央の事件カルテ(長編)
- 呪いのシンプトム 天久鷹央の推理カルテ(短編集)
- 鏡面のエリクサー 天久鷹央の事件カルテ(長編)
- 血脈のナイトメア 天久鷹央の事件カルテ(長編)
- アノマリーの追憶 天久鷹央の推理カルテ(短編集)
知念実希人さんの天久鷹央の推理カルテのシリーズを読むおすすめの順番(刊行順)は、『天久鷹央の推理カルテ 完全版』『ファントムの病棟 天久鷹央の推理カルテ 完全版』『密室のパラノイア 天久鷹央の推理カルテ 完全版』『スフィアの死天使 天久鷹央の事件カルテ 完全版』『悲恋のシンドローム 天久鷹央の推理カルテ 完全版』『幻影の手術室 天久鷹央の事件カルテ 完全版』『神秘のセラピスト 天久鷹央の推理カルテ 完全版』『甦る殺人者 天久鷹央の事件カルテ 完全版』『火焔の凶器 天久鷹央の事件カルテ 完全版』『魔弾の射手 天久鷹央の事件カルテ 完全版』『神話の密室 天久鷹央の推理カルテ 完全版』『久遠の檻 天久鷹央の事件カルテ 完全版』『生命の略奪者 天久鷹央の事件カルテ 完全版』『吸血鬼の原罪 天久鷹央の事件カルテ』『羅針盤の殺意 天久鷹央の推理カルテ』『絶対零度のテロル 天久鷹央の事件カルテ』『猛毒のプリズン 天久鷹央の事件カルテ』『呪いのシンプトム 天久鷹央の推理カルテ』『鏡面のエリクサー 天久鷹央の事件カルテ』『血脈のナイトメア 天久鷹央の事件カルテ』『アノマリーの追憶 天久鷹央の推理カルテ』です。
各作品は続編ではなく独立した作品となっているので、どれから読んでも問題はありません。ただし、時間がゆるすなら上記の順に読むことをおすすめします。
【知念実希人】天久鷹央の推理カルテのシリーズのあらすじ(刊行順)
①『天久鷹央の推理カルテ 完全版』(短編集)
あらすじ
天医会総合病院の統括診断部。他の医師が「診療困難」とさじを投げた患者が集められる、病院の最後の砦。その部長を務めるのは、圧倒的な医学知識と明晰な頭脳を持つ天才医師・天久鷹央。
唯一の部下である小鳥遊優は、傍若無人な彼女に振り回される日々を送っている。原因不明の意識障害、河童を目撃した少年、人魂に怯える看護師。次々と舞い込む奇妙な症例の裏には、思いもよらない「病」と「真実」が潜んでいて…。(書き下ろし掌編「蜜柑と真鶴」収録)
おすすめポイント
現役医師である著者だからこそ描ける、医療知識の精緻さとミステリーの切れ味が見事に融合した一冊です。「河童」「人魂」といった一見オカルトめいた謎が、論理と医学で鮮やかに解体されていく過程は、知的興奮そのものと言えるでしょう。
何より惹きつけられるのは、天久鷹央というキャラクターの圧倒的な存在感です。天才ゆえの傍若無人さと、ふとした瞬間に覗く不器用な人間味。その振れ幅が、助手・小鳥遊の視点を通じて鮮明に浮かび上がります。読むほどに、彼女の次の一手が気になって仕方なくなるはずです。
鷹央にいつも振り回されてばかりの小鳥遊だが、そんな2人のコミカルな掛け合いも見どころの一つです。小気味よいテンポ進んでいく展開と、医療の知識をおりまぜた謎解きに夢中になれる作品集。
②『ファントムの病棟 天久鷹央の推理カルテ 完全版』(短編集)
あらすじ
破天荒な天才女医・天久鷹央のもとに、今日も奇妙な症例が舞い込んでくる。「コーラに毒を盛られた」と主張するトラック運転手、「吸血鬼が現れる」と怯える看護師、そして「病室に天使がいた」と語る少年。
統括診断部に持ち込まれる訴えはどれも荒唐無稽に見えるが、その裏には思いもよらない”病”が潜んでいた。(書き下ろし掌編「ソフトボールと真鶴」収録)
おすすめポイント
3つの短編それぞれに仕掛けられた「医学的トリック」が見事です。オカルトとしか思えない現象を、現役医師ならではの専門知識で鮮やかに解体していく。その知的快感が、ページをめくる手を確実に加速させます。短編形式だからこそ、一話ごとに「騙された!」という驚きをリセットして味わえるのも贅沢なポイントです。
とりわけ胸を打つのは、最終話「天使が舞い降りる夜」です。子どもたちの純粋な想いが事件の真相と深く絡み合い、謎が解けた瞬間、推理の快感と切なさが同時に押し寄せてきます。普段は傍若無人な鷹央が見せる葛藤と成長に、思わず目頭が熱くなるはずです。
医療知識がエンタメとして昇華されているだけでなく、事件の根底に「大切な人を守りたい」という純粋な想いが流れている点が、本作を単なる謎解きの先へと押し上げています。ミステリの鮮やかさと、不意に込み上げる感動。その両方を一冊で味わいたい方に、自信を持っておすすめしたい作品です。
③『密室のパラノイア 天久鷹央の推理カルテ 完全版』(短編集)
あらすじ
天久鷹央のもと診断学を学ぶ内科医・小鳥遊優に、ある日突然、派遣元の医局から帰還命令が届く。驚き、そして激怒する鷹央だったが、通達の理由を調べるうちに、とある総合病院を舞台にした不可解な「密室殺人」の存在が浮かび上がる。
水のない病室で、なぜ人は溺死したのか。残されたタイムリミットはわずか。天才医師と凡人内科医のコンビが、最難関の謎に挑む。(書き下ろし掌編「小鳥遊先生、さようなら」収録)
おすすめポイント
「水のない密室でなぜ溺死したのか」。この一文だけで、ミステリ好きの心は鷲掴みにされるのではないでしょうか。不可能犯罪の条件が丁寧に整理され、論理の糸を一本ずつ手繰り寄せていく過程には、本格推理ならではの知的興奮がぎっしり詰まっています。
同時に、本作は鷹央と小鳥遊の関係性が大きく揺さぶられる一冊でもあります。帰還命令という「別れの予感」が物語の通奏低音となり、謎解きの緊張感と人間ドラマの切なさが二重螺旋のように絡み合っていくのです。
呪いの動画、不老不死を名乗る患者。荒唐無稽に見える症例が、医学の光を当てた瞬間に鮮やかな合理性を得る快感は、現役医師である著者だからこそ描ける唯一無二の武器です。「医療×密室」の化学反応を、ぜひご自身の目で確かめてみてください。
④『スフィアの死天使 天久鷹央の事件カルテ 完全版』(長編)
あらすじ
外科医としてのキャリアを捨て、内科医への転科を決意した小鳥遊優。新天地として天医会総合病院の門を叩いた彼を待っていたのは、日本最高峰の頭脳を持つ天才医師・天久鷹央だった。
しかしその傍若無人な振る舞いに、小鳥遊は困惑するばかり。そんな折、「宇宙人に命令された」と語る患者が現れ、院内で不可解な事件が相次ぐ。新興宗教団体の影がちらつく中、ふたりの医師は否応なく事件の渦中へと引き込まれていく…。(書き下ろし掌編「白い粉の秘密」収録)
おすすめポイント
現役医師だからこそ描ける「診断」と「推理」の融合が、本作では鮮やかに結実しています。宇宙人や新興宗教という一見荒唐無稽な題材を、確かな医学的知見で解体していく過程は、ページをめくるたびに知的興奮が加速する読書体験です。
天才ゆえに周囲から孤立する鷹央と、過去のトラウマを抱えて再出発を図る小鳥遊。まだぎこちない二人のやり取りには、シリーズの原点ならではの瑞々しさが詰まっています。凸凹コンビが少しずつ信頼を重ねていく姿は、ミステリの緊張感の中にあって確かな温もりを感じさせます。
宇宙人、洗脳、新興宗教。荒唐無稽に見える謎が、医学的根拠によって鮮やかに解体されていく構成は圧巻です。「医療ミステリーも人間ドラマも、どちらも妥協なく楽しみたい」という方に、シリーズの入り口としておすすめしたい一冊です。
⑤『悲恋のシンドローム 天久鷹央の推理カルテ 完全版』(短編集)
あらすじ
天久鷹央と内科医・小鳥遊優のもとに、看護師の相馬若菜から友人の殺害事件について相談が持ち込まれる。自宅マンションで襲われたはずの女性が、10キロ以上離れた港で遺体となって発見された。
奇想天外な「瞬間移動」の謎に挑む鷹央だったが、捜査の過程で突如「この事件からは手を引く」と宣言。困惑する小鳥遊に、鷹央は静かにこう告げる。「この事件は、お前が解決するんだ」と…。(書き下ろし掌編「想いよ届け」収録)
おすすめポイント
天才医師・天久鷹央が「この事件からは手を引く」と宣言する。シリーズを追ってきた読者ほど、この一言に衝撃を受けるはずです。あらゆる難事件を鮮やかに「診断」してきた彼女がなぜ自ら身を退くのか。その理由が明かされる瞬間、物語の景色は一変します。
「死体の瞬間移動」という奇想天外な謎に対し、現役医師である著者ならではの医学的トリックが冴え渡ります。提示される手がかりは公平でありながら、素人にはまず辿り着けない。その「診断」の鮮やかさは、シリーズ随一と言えるでしょう。
謎解きの先に描かれる、人間の痛みと再生の物語が深く胸に残ります。タイトルに冠された「悲恋」の意味を知ったとき、切なさとともに、誰かを想い続けることの尊さが静かに広がっていく作品です。
⑥『幻影の手術室 天久鷹央の事件カルテ 完全版』(長編)
あらすじ
清和総合病院の手術室で、麻酔医・湯浅春哉が死亡した。院内カメラに残されていたのは、まるで「透明人間」と格闘するかのように暴れ、そのまま絶命する彼の姿だった。
密室であるはずの手術室にいたのは、全身麻酔から覚め始めたばかりの患者ただ一人。その患者が、天久鷹央のもとで働く研修医・鴻ノ池舞だと判明したとき、事件は思いもよらない方向へ動き出す…。(書き下ろし掌編「鴻ノ池の笑顔」収録)
おすすめポイント
「手術室」という究極の密室に、「透明人間との格闘」という不可能状況を掛け合わせた冒頭の衝撃は、ミステリとして一級品です。監視カメラの映像が突きつける”あり得ない光景”に、読者は最初の数ページで完全に引き込まれます。
現役医師である著者だからこそ成立するトリックが、本作にはいくつも仕掛けられています。医学知識が「飾り」ではなく事件の根幹に直結しているため、真相が明かされた瞬間の納得感と驚きが同時に押し寄せてきます。「なるほど、そういうことだったのか」と膝を打つ快感は、シリーズ屈指と言えるでしょう。
謎解きだけでなく、容疑者となった仲間を救うために奔走する天久鷹央と小鳥遊優の姿が胸を打ちます。「逃げるのではなく、戦うんだ」。作中で放たれるこの言葉は、事件を超えて読者の心にまっすぐ届く力を持っています。知的興奮と人間ドラマの両方を味わいたい方に、ぜひ手に取っていただきたい一冊です。
⑦『神秘のセラピスト 天久鷹央の推理カルテ 完全版』(短編集)
あらすじ
人混みに紛れると身体が腐敗していく患者、鍼灸師の施術で20歳以上も若返った女性、そして白血病が再発した少女の母親が医師ではなく「預言者」の奇蹟に縋る。
天医会総合病院・統括診断部に持ち込まれるのは、いずれも科学では説明がつかない不可思議な「症状」ばかり。天才医師・天久鷹央は、神秘のヴェールに包まれた現象の裏側に潜む「病」の真実を暴こうとするが…。(書き下ろし掌編「詐欺師と小鳥遊」収録)
おすすめポイント
実在の疾患をミステリの「トリック」へと大胆に昇華させる手腕が光る短編集です。腐敗、若返り、聖痕。荒唐無稽に見える謎が医学的根拠とともに鮮やかに解体されていく快感は、このシリーズならではの醍醐味といえます。
さらに本作が深く刺さるのは、「科学か、信仰か」という問いを真正面から描いている点です。医師の言葉を信じられず奇蹟にすがる患者たちの切実さは、決して他人事ではありません。その揺れる心に、鷹央が科学者としての矜持を崩さずどう向き合うのか。そのやりとりに思わず胸が熱くなります。
そして短編集でありながら、天久鷹央という人間の成長が確かに刻まれている一冊でもあります。論理の塊だった彼女が言葉を選び、患者の心に寄り添おうとする姿に、シリーズを追いかけてきた読者ほど深い感慨を覚えるはずです。
⑧『甦る殺人者 天久鷹央の事件カルテ 完全版』(長編)
あらすじ
都内近郊で若い女性が次々と絞殺される連続殺人事件が発生する。犯行はエスカレートし、現場には「私は既に死んでいる」と警察を嘲笑う声明文が残された。
DNA鑑定が示した容疑者は、なんと4年前に天久鷹央自身が死亡を確認した男だった。死者の復活か、それとも未知のトリックか。天才医師と謎のシリアルキラーによる、前代未聞の頭脳戦が幕をあけて…。(書き下ろし掌編「鷹央の恋人?」収録)
おすすめポイント
「死んだはずの人間が殺人を犯している」。この一点だけで、ページをめくる手が止まらなくなります。DNA鑑定という科学的証拠が突きつける不可能犯罪に、現役医師である著者ならではの医学知識が真正面から切り込んでいく構成は見事というほかありません。
巧みなミスリードが読者の推理をことごとく裏切り、物語は二転三転と表情を変えていきます。明かされる真相は「人間の体にはこんな秘密があるのか」と知的好奇心を激しく揺さぶるもの。医療ミステリーだからこそ成立する、唯一無二のトリックに息を呑むはずです。
一方で、緊迫した事件の合間に挟まれる鷹央先生のコミカルな言動が、絶妙な緩急を生んでいます。アイスひとつで機嫌が直る天才医師と、振り回されながらも着実に成長していく小鳥遊先生。このコンビの掛け合いが、シリアスな物語に温かな余韻を添えてくれる作品です。
⑨『火焔の凶器 天久鷹央の事件カルテ 完全版』(長編)
あらすじ
安倍晴明と同時代に生きた陰陽師・蘆屋炎蔵。その墓を調査した大学の研究チームが、次々と原因不明の体調不良に見舞われる。さらに、火の気のない場所で研究者の身体が突如として発火する異常事態が発生した。
殺人か、事故か、それとも千年の時を超えた呪いなのか。天医会総合病院の天才女医・天久鷹央が真相を求めて動き出すが、それは事件のほんの始まりに過ぎなかった…。(書き下ろし掌編「新しい相棒」収録)
おすすめポイント
「陰陽師の呪い」と「人体自然発火」。本来なら一笑に付されるオカルト現象に、現役医師である著者が真正面から医学的な診断を下していく過程は、知的興奮に満ちています。非科学的な恐怖が論理によって鮮やかに解体されていく快感を、ぜひ味わってみてください。
さらに見事なのは、謎が一度解決したかに見えた瞬間、より深い闇が口を開ける構成です。呪いの正体を突き止めてもなお残る「なぜ人は燃えたのか」という問い。二重三重に仕掛けられた謎が、ページをめくる手を止めることを許しません。
そして物語を力強く支えているのは、天久鷹央と小鳥遊優の「タカタカコンビ」の絆です。窮地に立たされるほどに際立つ二人の信頼関係が、ミステリの緊張感の中にあたたかな余韻を残します。謎解きだけでは終わらない、人間ドラマとしての深みを備えた一冊です。
⑩『魔弾の射手 天久鷹央の事件カルテ 完全版』(長編)
あらすじ
西東京市にある廃病院。かつて医療過誤で閉鎖され、「人を喰う病院」と噂される時計山病院の屋上から、一人の看護師が転落死した。警察は不治の病を苦にした自殺と断定するが、娘の時山由梨は「母が一人で死ぬはずがない」と真っ向から否定する。
天才医師・天久鷹央は由梨の依頼を受けて調査に乗り出すが、遺体に外傷はなく、死の直前に響いた謎の破裂音だけが手がかりとして残されていた。見えない「魔弾」を放った者は、一体誰なのか…。(書き下ろし掌編「幽霊と鴻ノ池」収録)
おすすめポイント
「自殺か、他殺か」という問いに加え、外傷のない遺体と謎の破裂音という不可能犯罪の構図が、最初の数ページで読者の推理心を鷲掴みにしてきます。舞台となる廃病院の不穏な空気が一行ごとに濃くなり、ページをめくる手がまったく止まりません。
今回は鷹央先生がまさかのインフルエンザで戦線離脱し、小鳥遊先生と鴻ノ池舞が奔走するという異例の布陣も見どころです。いつもとは違う緊張感の中で、現役医師である著者にしか描けない医学トリックが炸裂する瞬間には、思わず「そんな疾患が存在するのか」と声が漏れるはずです。
事件の決着後に胸に残るのは、トリックの鮮やかさだけではありません。母の死の真実を求め続けた娘の想い、その答えにたどり着いたときの静かな余韻が、じんわりと沁みてきます。ミステリとしての驚きと、家族の物語としての温もりが同居する作品です。
⑪『神話の密室 天久鷹央の推理カルテ 完全版』(中編集)
あらすじ
アルコールが一滴もないはずの閉鎖病棟で、なぜか泥酔を繰り返すかつての人気作家。そしてキックボクシングの王者決定戦。勝利の瞬間、リング上で命を落としたチャンピオン。
厳重な警備が敷かれた病院と、千人以上の観客が見守る試合会場。まるで神が魔法をかけたかのような二つの「密室」事件に、天才医師・天久鷹央が”診断”で挑み…。(書き下ろし掌編「後輩、朝霧明日香」収録)
おすすめポイント
「密室」と聞けば鍵のかかった部屋を想像しがちですが、本作が用意するのは”閉鎖病棟”と”衆人環視のリング”という、まったく異質な二つの空間です。現役医師である著者だからこそ描ける医学トリックは、真相を知った瞬間に驚きと深い納得が同時に押し寄せてきます。
特に第2話「神のハンマー」では、鮮やかな謎解きの先に胸を締めつける余韻が待っています。勝利の歓声と喪失が重なる構図、そして事件の裏側にあった人間の想いが明かされたとき、ミステリの枠を超えた切なさに思わず頁を戻したくなるでしょう。
もう一つ見逃せないのが、小鳥遊先生の成長です。鷹央から「お前が解決しろ」と託される場面は、シリーズを追ってきた読者ほど胸が熱くなるはず。一冊で完結する読みやすさと、シリーズの積み重ねが交差する、贅沢な医療ミステリです。
⑫『久遠の檻 天久鷹央の事件カルテ 完全版』(長編)
あらすじ
15年以上前にアイドルとして活動していた少女・楯石希津奈が、当時とまったく同じ外見で天医会総合病院に現れる。「自分は龍神であり不老不死だ」と語る彼女に驚いた精神科部長は、統括診断部の天才医師・天久鷹央に診察を依頼する。
だが検査を始めようとした矢先、父親が現れ希津奈は連れ去られてしまう。ミイラ化した遺体、自殺からの復活。不可解な現象が次々と重なりはじめ…。(書き下ろし掌編「天国への道」収録)
おすすめポイント
「不老不死」という壮大な謎を、医学という理性のメスで切り開いていく構成が圧巻です。ミイラ化した遺体、自殺からの復活。次々と突きつけられる超常現象に対し、天久鷹央が冷徹な「診断」を下していく過程は、ページをめくる手が止められなくなるほどの知的興奮に満ちています。
物語の中心にいるのは、15年もの間「檻」に囚われてきた一人の少女です。不老不死の真相が明らかになるにつれ、その裏側に横たわる人間の執着と哀しみが静かに浮かび上がります。ミステリーとしての快感と、胸を締めつけるような痛みが同時に押し寄せる体験は、このシリーズならではのものでしょう。
医学知識に裏打ちされたトリックの説得力は見事というほかありません。そしてそのトリックが暴くのは、「命の重さ」と「人間の尊厳」という普遍的な問いです。知的興奮と深い感動を同時に味わえる、天久鷹央シリーズの真骨頂ともいえる一冊です。
⑬『生命の略奪者 天久鷹央の事件カルテ 完全版』(長編)
あらすじ
臓器移植。命を失った人の善意が、別の患者を救う「命のリレー」。その崇高な遺志を踏みにじるかのように、移植用の臓器が次々と奪われる連続強奪事件が発生する。
新幹線で心臓を搬送していたコーディネーターへの襲撃を皮切りに、心臓、肺、肝臓、腎臓と被害は拡大し、ついには天医会総合病院にまで及ぶ。天才医師・天久鷹央は、生命を略奪する犯人の正体と、その不可解な動機の解明に乗り出すが…。(書き下ろし掌編「生命の摂食者」収録)
おすすめポイント
物語の三分の二を過ぎたあたりで事件が決着すると見せかけて、その先にもう一つの真相が待ち構えています。「解決したはずなのに、まだページが残っている」という読書体験そのものが伏線になる二段構えの構成は、ミステリーとして見事というほかありません。
現役医師である著者だからこそ描ける臓器移植現場のリアリティが、物語に圧倒的な説得力を与えています。「命のリレー」という美しい理念と、それを踏みにじる犯行との落差が、読む者の倫理観を静かに、しかし確実に揺さぶってきます。
鷹央・小鳥遊・鴻ノ池の三人が本格的にチームとして動き出す一冊でもあります。事件の緊迫感のなかに、天才ゆえの孤独を抱える鷹央のささやかな変化が温もりを添えてくれる。医療ミステリーとしても、人間ドラマとしても満足度の高い作品です。
⑭『吸血鬼の原罪 天久鷹央の事件カルテ』(長編)
あらすじ
東久留米市の公園、荒川の河川敷、東京湾の沿岸。三つの場所で相次いで遺体が発見される。被害者の首すじにはいずれも二つの傷跡があり、体内からほぼすべての血液が抜き取られていた。
まるで「吸血鬼」の仕業としか思えない連続殺人事件。捜査一課の桜井から内々に相談を受けた天才医師・天久鷹央は、事件の謎に挑み始める…。
⑮『羅針盤の殺意 天久鷹央の推理カルテ』(短編集)
あらすじ
天才医師・天久鷹央のもとに持ち込まれるのは、医療の常識では説明できない3つの「謎」。毎年春先だけ原因不明の肝炎を発症する高校生、何者かによって鮮やかな色に塗られた猫たち。そして、鷹央が唯一「先生」と呼ぶ恩師・御子神氷魚の不可解な死。
不治の病に冒されていた彼女は「見立てよりも早く死んだら、殺されたと思ってくれ」という謎めいた言葉を残していた。師の真意を知るため、鷹央は捜査を開始するが…。
⑯『絶対零度のテロル 天久鷹央の事件カルテ』(長編)
あらすじ
九月の熱帯夜、天医会総合病院の救急外来に身元不明の男性が搬送されてくる。その死因は、真夏にはあり得ないはずの「凍死」だった。司法解剖の必要性を訴える医師たちに対し、警察の反応は冷ややかで、捜査協力は得られない。
それでも天才医師・天久鷹央は、解剖なしのわずかな手がかりから遺体の正体に迫り始める。だがそれは、日本全土を震撼させる大事件の幕開けに過ぎなかった…。
⑰『猛毒のプリズン 天久鷹央の事件カルテ』(長編)
あらすじ
長野県の山奥にそびえ立つ洋館、九頭龍邸。天医会総合病院・統括診断部の天久鷹央は、計算機工学の天才・九頭龍零心朗から「最後の依頼」を受けてこの地を訪れます。
しかし邸内には莫大な遺産を巡る思惑が渦巻き、やがて殺人事件が発生。容疑者が次々と浮かび上がるなか、最後に嫌疑がかかったのは、まさかの鷹央自身だった…。
⑱『呪いのシンプトム 天久鷹央の推理カルテ』(短編集)
あらすじ
統括診断部に持ち込まれたのは、医学では説明がつかないはずの3つの”呪い”。水神の祟りに怯える母娘の腕に浮かび上がる無数の手形、化け猫に憑かれたとしか思えない少年の眼の異変、そして火葬後の頭蓋骨から発見された。死亡時には存在しなかったはずの銃弾。
天才医師・天久鷹央はこれらの不可解な現象に「診断」を下そうとするが、やがてひとつの事件が、彼女でさえ「正解のない問題」と呼ぶ領域へと踏み込んでいく…。
⑲『鏡面のエリクサー 天久鷹央の事件カルテ』(長編)
あらすじ
天久鷹央の叔父にして天敵、天医会総合病院の院長・天久大鷲。彼が執刀した都議会議員が突然「このままでは殺される」と警察に助けを求めた。困惑する小鳥遊たちの前で、事態はやがて殺人事件へと発展し、病院の存続そのものが揺らぎ始める。
さらに捜査の過程で浮かび上がったのは、あらゆる病を治すという謎の「万能薬」の存在だった。鷹央は叔父の容疑を晴らし、真相にたどり着けるのか…。
⑳『血脈のナイトメア 天久鷹央の事件カルテ』(長編)
あらすじ
心臓移植を受けた医学生・北川彰二は、術後から毎晩同じ夢を見るようになった。見知らぬ森の中で何者かに襲われ、頭を殴られる——身に覚えのない「記憶」が、まるで自分のもののように蘇る。
「臓器の記憶」という不可思議な現象に興味を持った天才女医・天久鷹央は、小鳥遊優とともに調査を開始する。しかし心臓のドナーが暴力団の若頭だったことが判明し、事態は思わぬ方向へと動き出して…。
㉑『アノマリーの追憶 天久鷹央の推理カルテ』(短編集)
あらすじ
天久鷹央のもとに持ち込まれたのは、二つの奇怪な「事件」。一つは、まるで悪魔に取り憑かれたかのような痙攣を見せる赤ん坊。因習に縛られた旧家の義母は祈祷師を連れ込み、若い母親を追い詰めていく。
もう一つは、巨大な肉食獣に足を食いちぎられ、青い血を流して搬送されてきた男。常識では説明のつかない二つの謎に、天才医師の頭脳が静かに回り始める…。
まとめ
どうですか、気になった書籍は見つかりましたか?
この記事を通して、少しでもあなたの読書生活が有意義なものになったら幸いです。
それでは、まったです。 (‘◇’)ゞ
【知念実希人】天久鷹央の推理カルテのシリーズ 一覧(刊行順)
コチラの記事もどうぞ
おすすめ記事

































コメント