【阿部智里】八咫烏シリーズの読む順番と新刊を紹介

鳥ながら人の姿に転身できる「八咫烏」が支配する異世界「山内」を舞台にした和風ファンタジー。
今回はそんな、阿部智里さんの『八咫烏シリーズ』の読む順番と新刊をご紹介します。
まだ、読まれていない本があれば、これを機に読んでみてはいかがでしょうか。
八咫烏シリーズの新刊
ちなみに、阿部智里さんの単行本&文庫本の新刊情報は、下記の記事で紹介しているのでよかったらどうぞ。
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【阿部智里】八咫烏シリーズの読む順番
八咫烏シリーズは、八咫烏の一族が支配する世界「山内」で、若宮の后の座をめぐり4家の姫がいがみあう中で、さまざまな事件がおこっていく異世界ファンタジーです。
おすすめの読む順番
- 烏に単は似合わない(2012年6月)
- 烏は主を選ばない(2013年7月)
- 黄金の烏(2014年7月)
- 空棺の烏(2015年7月)
- 玉依姫(2016年7月)
- 弥栄の烏(2017年7月)
- 烏百花 蛍の章(2018年5月)外伝
- 楽園の烏(2020年9月)
- 烏百花 白百合の章(2021年4月)外伝
- 追憶の烏(2021年8月)
- 烏の緑羽(2022年10月)
- 望月の烏(2024年2月)
阿部智里さんの八咫烏シリーズを読む順番は、『烏に単は似合わない』『烏は主を選ばない』『黄金の烏』『空棺の烏』『玉依姫』『弥栄の烏』『烏百花 蛍の章』『楽園の烏』『烏百花 白百合の章』『追憶の烏』『烏の緑羽』『望月の烏』です。
【阿部智里】八咫烏シリーズのあらすじ
①『烏に単は似合わない』
あらすじ
人間の姿に変身することのできる八咫烏の一族が支配する世界「山内」。宗家の世継ぎである若宮の后選びが始まり、東西南北の大貴族から選りすぐりの姫君が一人ずつ、桜花宮へ送り込まれる。
春夏秋冬を司るかのようにそれぞれの魅力を誇る四人は、家の命運と若宮への想いを胸に后の座を競い合う。けれど肝心の若宮は一向に姿を見せず、侍女の失踪、謎の手紙、後宮への侵入者と、不穏な事件だけが重なっていく……。
おすすめポイント
華やかな后選びの物語として幕を開けながら、読み進めるほどに足元の地面がゆるやかに傾いていく。その構成の巧みさに息を呑みます。春夏秋冬の姫君たちが織りなす人間模様は繊細で、誰もが表の顔の奥にもうひとつの輪郭を隠していることが、少しずつ浮かび上がってきます。
特筆すべきは、読者自身の「信じたい気持ち」が物語の仕掛けそのものになっている点です。純真に見える人物を応援したくなる感情が終盤で静かに裏返る瞬間、自分のなかの「見たいものしか見ていなかった」性質を突きつけられるでしょう。
贅を尽くした館、大烏に曳かれて空を飛ぶ車、四季折々の衣裳。平安朝の雅を思わせる世界のすぐ裏側に、人ならざる烏の本性が息づいています。その美しさと異質さの同居こそが「山内」という舞台の磁力であり、見えるものの奥に何が潜むのかという物語の問いと、深く響き合っているように感じられます。世継ぎの后選びをめぐり火花を散らす姫君たちに、迫りくる謎の数々に魅入られていく物語。
②『烏は主を選ばない』
あらすじ
八咫烏の一族が統べる世界「山内」。北家ゆかりの少年・雪哉は、家族を守るために才を隠し「ぼんくら次男」を装って暮らしていた。そんな彼がひょんなことから、兄を退けて世継ぎとなった若宮の近習に抜擢される。
しかし仕えるべき主は「うつけ」と評判で、命令は破天荒、夜ごと花街に通い、宮中の敵は数えきれない。陰謀と暗殺者が渦巻く朝廷のただなかで、奇妙な主従の日々が静かに動きはじめる……。
おすすめポイント
きらびやかな后選びを描いた前作の裏側で、若宮がいったい何をしていたのか。その問いにまっすぐ応える一冊です。同じ時間軸を別の視点から照らし直すことで、一作目で見ていた風景そのものの見え方が変わってしまう仕掛けになっていて、ページをめくりながら思わず前作をもう一度開きたくなります。
語り手となる雪哉は、家を守るために才を伏せて生きる少年で、口は悪いけれど頭はよく回り、どこか冷めた視線を持っています。破天荒な若宮と反発しあいながら少しずつ距離を縮めていく主従のやり取りは軽妙で、華やかな宮廷劇にふっと風が通るような心地よさがあるでしょう。
もうひとりの主役である若宮は、「うつけ」と評される奔放さのなかに、ふと背筋が伸びるような聰明さをのぞかせる人物です。無茶な命令や花街通いのむこうに何を見据えているのか、本人はほとんど語りません。とらえどころのないまま物語の中心に居続けるその存在感が、読み手の視線を最後まで離してくれない静かな磁力になっています。
③『黄金の烏』
あらすじ
八咫烏の一族が支配する世界「山内」。宮廷を離れた雪哉は、故郷・垂氷郷で平穏な日々を取り戻していた。そこへ身分を偽って訪ねてきた若宮に誘われ、禁制の薬「仙人蓋」の出所を追う旅へ同行することになる。
最北の村でふたりを待っていたのは、八咫烏を喰らう大猿と、ただ一人生き残った少女・小梅の姿。穏やかなはずの郷里を起点に、山内そのものを揺るがす秘密が静かに動き始める……。
おすすめポイント
華やかな宮廷劇で幕を開けたシリーズが、三作目で外の世界へ静かに扉を開いていきます。舞台は中央を離れた山里や最北の辺境へと移り、これまで見えていなかった里烏や山烏の暮らし、山内の奥行きが立ち上がってきます。国そのものが息づくような広がりを感じられるでしょう。
雪哉の変化も見どころです。宮中から故郷へ戻り、家族のぬくもりに包まれていた彼が、ひとりの少女の運命を前にして「守りたいもの」の輪郭を結び直していきます。軽やかな口調の奥にある覚悟が少しずつ立ち上がる過程は、静かな熱を帯びているように思います。
華やかさと血なまぐささが隣り合わせに置かれ、甘い幻想に浸る暇を与えません。八咫烏と大猿、身分と貧しさ、仲間と裏切り。対になる要素が小さな選択のなかで絡み合い、胸の奥にざらついた問いが残ります。シリーズの扉が、もう一段深く押し開かれた手応えのある一冊かもしれません。
④『空棺の烏』
あらすじ
八咫烏の一族が支配する世界「山内」。前作で若宮への忠誠を誓った少年・雪哉は、宗家を護るエリート武官を養成する全寮制の学校「勁草院」へ足を踏み入れる。平民の茂丸、下人の千早、大貴族の御曹司・明留。生まれも立場もまるで異なる少年たちが一つ屋根の下に集い、過酷な訓練と競争の日々がはじまる。
けれど学内では若宮派と兄宮派の対立が激しさを増し、身分の壁が影を落とす。策士の素顔を隠しながら仲間を得ていく雪哉の前に、山内の根幹を揺るがす不穏な気配が静かに忍び寄る……。
おすすめポイント
シリーズの舞台が宮廷から学び舎へと移り、物語の空気が一変します。汗と砂埃のなかで肩をぶつけ合う少年たちの群像は鮮烈で、身分も志も異なる四人がぶつかりながら信頼を編んでいく過程に、胸の奥がじわりと熱くなります。
注目すべきは、雪哉の内側に潜む冷徹さと温かさの同居でしょう。目的のために仲間すら駒にする覚悟を見せながら、ふとした瞬間に覗く年相応の脆さが、この少年をただの策士では終わらせていません。茂丸がかける一言の重みが、読む側の胸にも深く届きます。
華やかな宮廷劇の裏側にあった階級の現実、そして「山内」そのものの秘密が少しずつ輪郭を帯びていく構成は見事です。青春の眩しさと世界の暗部を同時に描き切ったこの一冊は、シリーズの奥行きをもう一段押し広げています。
⑤『玉依姫』
あらすじ
祖母と二人で暮らす女子高生の志帆は、母と祖母がかつて逃げ出したという山奥の故郷・山内村を訪れる。しかしそこで待ち受けていたのは、山神への生贄として捧げられる恐ろしい儀式だった。
人が踏み入ることを禁じられた山の領域で、絶体絶命の志帆の前に一人の青年が現れる。味方か敵か、人か烏か。シリーズの舞台は一転して現代日本へ。八咫烏が支配する異世界「山内」の起源に横たわる秘密が、静かに目を覚まし始める……。
おすすめポイント
これまで積み上げてきた山内の空気を一瞬で断ち切り、舞台を現代日本へ移す構成に、足元が崩れるような感覚を覚えます。慣れ親しんだ烏たちの不在がかえって「山内とは何か」という問いを鋭く浮かび上がらせ、ファンタジーの手触りごと静かに変わっていきます。
山神と玉依姫、烏と猿。日本の古層に眠る信仰と因習を物語の骨格に据えることで、異世界だったはずの山内が現実と地続きに変容していく過程に引き込まれます。生贄譚の残酷さのなかで、それでも人を信じようとする志帆の姿が、古代と現代を静かに架橋しています。
シリーズ全体を俯瞰する視座を与えてくれる一冊でありながら、「見えていたものの裏側」をそっと突きつけてくる物語でもあります。山内の起源を知ったあとにふたたび第一巻を開けば、あの華やかな后選びの景色がまるで違って映るかもしれません。
⑥『弥栄の烏』
あらすじ
八咫烏の一族が支配する世界「山内」。大地震が山内を襲い、100年のあいだ閉ざされていた禁門がついに開かれる。門の向こうから姿を現したのは、烏にとっての天敵、人喰い大猿。
崩壊の予感が満ちるなか、一族を統べる若宮は失われた記憶に苛まれ、全軍の参謀を担う雪哉は非情な決断を重ねてゆく。后選びから権力争い、そして外敵との対峙へ。第一部の伏線すべてが収束するその先に、誰も予想しなかった真実が待ち受けている……。
おすすめポイント
前作『玉依姫』と同じ時間軸を八咫烏の側から描き直す構成が、物語の奥行きを一変させています。すでに知っているはずの出来事が、視点を移すだけでまったく別の重みを帯びてくる。その手つきに、シリーズを積み重ねてきた書き手の覚悟がにじみます。
とりわけ心に残るのは、雪哉と若宮が逆方向へ変化してゆく過程です。大切な存在を失い感情を閉ざしていく雪哉と、少しずつ人間らしい弱さを獲得していく若宮。ふたりの軌道が交差するたびに、「守る」という行為が静かに削り取っていくものの輪郭が浮かび上がります。
猿たちの来歴が明かされる終盤では、「敵」と呼んでいた存在そのものが揺らぎ、善悪の境界を問い直されるでしょう。第一部の幕引きにふさわしい重厚な一冊でありながら、最後にともるかすかな光が、物語の続きへと読者の足を向かわせます。
⑦『烏百花 蛍の章』
あらすじ
八咫烏の一族が支配する異世界「山内」。后選びの嵐が過ぎ去った宮廷の裏側には、語られることのなかった想いが眠っている。
姫君への叶わぬ恋心、女の性を捨てて男として宮仕えする「落女」がつかんだ一瞬の愛、母から子へ密かに流れる意志の強さ。華やかな王朝絵巻の行間で、それぞれの人生を懸けた六つの「恋」が、蛍火のようにほのかに灯り始める……。
おすすめポイント
短編集でありながら、一編読み終えるごとに本編の景色が少しずつ塗り替わっていきます。脇役として通り過ぎた人物の内面に触れるたび、あのとき見ていた宮廷の光景にもうひとつ別の輪郭が浮かび上がるのを感じます。
特に印象深いのは、「落女」として生きる松韻を描いた一編です。性別を偽り、嘘のなかに本当の愛を見出していく姿は、矛盾に満ちているからこそ切実で、短い紙幅のなかに一生分の重みが凝縮されています。
六つの物語はいずれも、誰かを想う気持ちの形がひとつではないことを静かに証明しています。蛍の光のように儚く、けれど目を離せない。本編を読み返せば、あの場面の沈黙にも確かな意味があったのだと気づかされるでしょう。
⑧『楽園の烏』
あらすじ
八咫烏の一族が支配する異界「山内」。猿との大戦から20年。失踪した養父の遺言とともに、ある「山」の権利を相続した青年・安原はじめのもとに、土地の売却を迫る人間が次々とあらわれる。
やがて「幽霊」を名乗る謎の美女に導かれ、はじめは山の奥深くへ足を踏み入れる。そこに広がっていたのは、「楽園」と称される八咫烏たちの世界。けれど穏やかな表層の下には、20年の空白が生んだ歪みと不穏な影が静かに息づいている……。
おすすめポイント
第一部の華やかな宮廷劇から一転、現代の東京から幕を開ける構成に意表を突かれます。人間であるはじめの視線を借りて描かれる「山内」は、読者にとっても初めて訪れる土地のように新鮮で、同時にどこか息苦しさをまといます。見慣れたはずの世界が、20年の空白によってまるで別の場所に変わっていることに気づかされます。
かつて聡明で生意気だった少年が、老獪な権力者として立ちはだかる姿は、静かに胸を抉ります。守りたいものが増えるほど手段は冷徹になっていく。その変容の過程があえて語られないからこそ、行間に読者自身の想像が試されるのでしょう。
「楽園」という言葉の響きが、ページをめくるたびに苦みを帯びていきます。秩序の裏側で何が犠牲にされたのか、誰の目に映る景色が真実なのか。答えを手渡さないまま幕を閉じるこの一冊は、続巻への渇望とともに、自分が「見たいものだけを見ていなかったか」という問いを静かに残していきます。
⑨『烏百花 白百合の章』
あらすじ
八咫烏の一族が治める世界「山内」。本編では語られなかった八つの物語が、四季の名を冠して幕を開ける。亡き友の故郷を訪れる青年、剣の稽古を通じて少年の底知れなさを垣間見る貴族の子、誇りを賭けた灯籠づくりに挑む職人。
短編のひとつひとつが、華やかな宮廷の陰に息づく人々の覚悟と祈りを静かに照らし出す。やがて読者は、ある姫君の微笑みの奥に潜む、底のない闇へと導かれていく……。
おすすめポイント
短編集でありながら、八つの物語が通奏低音のように響き合い、一冊の長編を読んだような手応えが残ります。兄妹の軽妙なやりとりから、職人の静かな矜持、幼い日に刻まれた残酷な記憶まで。その振れ幅がそのまま「山内」という世界の奥行きになっています。
本編では脇役だった人々がそれぞれの物語の中心に立つことで、読者が抱いていた印象の「余白」がじわりと塗り替わっていきます。知っていたはずの人物の輪郭が変わるたび、本編をもう一度開きたくなる衝動に駆られるでしょう。
最終話に漂う穏やかな食卓の空気が、直前までの不穏をやわらげるようでいて、「この温もりはいつまで続くのか」という問いを静かに手渡してきます。外伝という枠を軽々と越えて、シリーズの心臓に触れる作品かもしれません。
⑩『追憶の烏』
あらすじ
猿との大戦を乗り越え、正式に即位した金烏・奈月彦。山内の存続のため大貴族四家との協力関係を模索しながら、娘の紫苑の宮を次代へ据えるべく動き始める。
下界への留学を控えた雪哉は、美しい夜桜の下で紫苑の宮としばしの別れを惜しむ。新しい時代の幕開け、そう信じていた穏やかな日々は、一通の信じがたい報せによって静かに崩れはじめて……。
おすすめポイント
シリーズ第一部からの伏線が一斉に回収されていく構成に、背筋が冷えるような読書体験を味わいました。前作『楽園の烏』で提示された「空白の20年」の内実が、想像の遥か斜め上から突きつけられます。
とりわけ胸を打つのは、雪哉がひとつずつ感情を手放していく過程の描かれ方です。忠義と呼ぶには痛ましく、諦念と呼ぶには熱すぎる。その矛盾を抱えたまま歩み続ける姿が、物語の重心を静かに、しかし確実に変えていきます。
登場人物それぞれが見ている世界の「狭さ」が、読者自身の視野をも問い返してくるような多層構造になっています。誰の正義も完全ではなく、誰の悲しみも軽くはない。その容赦のなさこそが、このシリーズを離れがたいものにしているのかもしれません。
⑪『烏の緑羽』
あらすじ
八咫烏の一族が支配する世界「山内」。正式に即位した弟・奈月彦を支える兄の長束は、長年側近をつとめる路近の忠誠が信じられずにいる。なぜこの男は自分に仕えるのか。
答えを求めて訪ねた先で、もうひとりの男との出会いが待ち受ける。貴公子を支える男たちの思惑と深い因縁が絡み合い、山内を揺るがしたあの政変の裏側が、静かに動き出す……。
おすすめポイント
シリーズの本流からいったん歩幅をゆるめ、脇に控えていた人物たちへ光を差し向ける——そんな一冊です。長束、路近、翠寛という見知った顔ぶれの輪郭が、過去の記憶と静かな対話を通じてみるみる立体になっていきます。人物を描くという営みの手ざわりが、頁の奥でしっかり息づいています。
とりわけ心に残るのは、路近という男のふしぎな手ざわりでしょう。理屈のまっすぐさと、常軌を外した判断のあいだを行き来する彼の思考は、「わかった」と「わからない」を同じ強さで差し出してきます。忠義という言葉の冷たい奥行きが、ふとした瞬間に覗けてしまうかもしれません。
本流からひと足ずれた外伝のようでいて、頁を閉じるころには山内という世界の骨組みに、新しい支柱がそっと建て増しされている、そんな感触が残ります。派手な戦や恋の綾ではなく、誰が何をどう引き受けて生きてきたかに目を凝らす時間。静かな体温にふれたい夜に、そっと開きたい一冊です。
⑫『望月の烏』
あらすじ
八咫烏の一族が支配する異世界「山内」。絶対権力者・博陸侯の後ろ盾のもと、新たに金烏代となった凪彦の后選びが始まり、南北東西の四家から遣わされた姫君たちが登殿の儀に臨む。
華やかな宮廷の傍らで、女の身分を捨て下級官吏として働く「落女」澄生が朝廷に姿を現す。傾城と呼ばれる美貌と研ぎ澄まされた知性。その視線が捉えているのは、后の座ではなく、山内の政を一手に握る博陸侯そのひと……。
おすすめポイント
第一部の后選びを知る読者ほど、足元を掬われる構成になっています。同じ「登殿の儀」でありながら、照らし出されるのは恋模様ではなく権力のかたちへの問いかけです。華やかさの奥に走る亀裂を、姫たちの視点からじわじわと感じとることになります。
物語の核を担うのは、澄生と博陸侯の舌戦です。山内を案じる思いは同じはずなのに、選ぶ道がまるで違う。その断絶を前にすると、どちらの正義にも寄りかかれない自分に気づかされます。理想と現実のあいだで軋む音が、ふたりの言葉を通して聞こえてくるかのようです。
満ちた月はやがて欠けるしかないという暗示が、物語全体をうっすらと覆っています。栄華の頂に立つ者がまとう孤独は、最後の数ページでひたひたと胸に迫り、本を閉じたあともなかなか手放してくれません。
まとめ
どうですか、気になった書籍は見つかりましたか?
この記事を通して、少しでもあなたの読書生活が有意義なものになったら幸いです。
それでは、まったです。 (‘◇’)ゞ
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